建物明渡の強制執行の事案

相談者は、賃貸用アパート1棟を所有していた。賃料を半年間滞納した賃借人がおり、取り立てたいという相談であった。
まずは、通知書を出すことになり、半年分の賃料を2週間以内に一括で支払うよう求め、もし、期日までに支払わない場合には、催告を待たずに当然に解除となるとの注意書きも入れた通知書を、内容証明郵便で送付した。
しかし、賃借人は通知書を受け取らず、留め置き期間満了で戻ってきてしまった。
やむを得ず、今度は普通郵便で通知書を出し直した。通知書は、2日以内に賃借人に到達したものと考えられたが、その日から2週間を経過しても、賃借人からは滞納賃料の支払いはなく、連絡もなかった。
そのため、通知書到達から2週間の経過をもって、賃貸借契約は解除となった。しかし、賃借人は、部屋から出て行こうとしなかった。
手紙を受け取らず、連絡手段もないことから、やむを得ず、裁判所に対して、賃借人を被告として建物明渡訴訟を提起した。
賃借人は、裁判所から届いた訴状を受け取ったにも関わらず、裁判期日に出頭しなかった。
そのため、欠席判決となり、建物明渡の判決が認容された。
賃借人は控訴もしなかったため、判決言い渡しから2週間で判決は確定した。
つづいて、裁判所に対して、建物退去の強制執行の申立てを行った。
選任された執行官と打ち合わせを行った上で、現地には2度行った。
1度目は立ち退きの催告を行い、そこから約1ヶ月後に強制執行を断行するために二度目の訪問をした。
強制執行の断行として、具体的には、引越業者を入れて荷物を運び出し、賃借人本人を追い出し、鍵を変えて入れなくして完了する。運び出した荷物は、保管や廃棄が必要となる。
ただ、この時は、2度目に部屋に赴くと、すでに部屋の中は空になっていて、賃借人が出て行った後であった。そのため、引越費用や保管・廃棄費用はかからずに済んだ。