交通事故(物損)で評価損を獲得した事例

相談者は、交通事故の被害者であり、信号待ちの時に後ろから追突された。
追突の原因は、よそ見であった。過失割合は、加害者側に100%の過失が認められ、その点に争いはなかった。
相談者が乗る車両は、高級車のレクサスであり、初年度登録から2年が経過していた。
通常、交通事故の物損の損害項目は、修理代とレンタカー代とレッカー代に限定される場合が多い。しかし、今回は、高級車ということで、事故歴による商品価値の下落が見込まれた。そこで、加害者側の保険会社に対しては、修理代とレンタカー代のほか、修理代の30%の評価損を追加して請求した。
しかし、加害者側の保険会社は、評価損の支払いに応じなかったため、訴訟を提起した。
評価損が認められるためには、新車又は高級車であることに加えて、フレーム等車体の本質的構造部分への重大な損傷が認められる必要がある。
そのため、レクサスのカーディーラーに行って、自動車査定協会による査定の考え方や、本件事故におけるレクサスの損傷をどのように位置づけるべきかについて具体的に教えてもらった。
本件事故では、加害者の車両が原告車の後部の下に潜り込む追突の仕方をしたため、車体リア部の部品をほぼ全て取り替える状況となった。修復歴としてAからCまでの3ランクがあるの中で、依頼者のレクサスの損傷は、最も原点が大きいAランクに該当するものであることが分かった。
このことを事故時の写真や見積書に基づいて具体的に主張したところ、裁判所としても評価損を認めるべきであるという考えた。
30%までは認められなかったが、修理費の20%の評価損を含む和解案が裁判所から当事者に提示され、当事者双方が受け入れたため、和解が成立して事件終了となった。