無料求人サイト詐欺

飲食店に求人サイトの運営会社から電話営業があり、キャンペーンで2週間の無料期間があるので求人広告を出さないかとの勧誘を受けた。
飲食店の担当者は無料ならばということで無料期間限定での求人広告の掲載を依頼した。

求人サイトの運営会社は、無料期間経過後に契約が自動更新されたとして1ヶ月分の広告掲載料として30万円を請求してきた。
後で契約の申込書を確認すると、書面を提出して更新を拒絶しない限り自動更新となるという条項が書かれていた。飲食店の担当者は、求人サイトの運営会社から、その条項の説明を受けた記憶はなかった。

相談を受けた弁護士は、求人サイトの運営会社に内容証明郵便を発送し、民法96条1項の詐欺又は民法90条の公序良俗無効を主張して、一切支払わないとの意思を伝えた。詐欺の理由付けとしては、無料を強調して勧誘し、自動更新の条項について詳しい説明を行わず、無料掲載期間終了直前に注意喚起を行わないで広告掲載料を請求するのは、掲載料金の支払い義務が発生しないかのように欺罔し、誤信に乗じて申込みをさせたものであり詐欺であると説明した。

公序良俗違反の理由付けとしては、1ヶ月の料金単価が30万円というのは常識を越える高額であり、広告掲載ページを求職者に見てもらおうとする姿勢も見られないホームページの体裁となっているため、金額に見合った成果が得られる見込みがなく、事前に有料掲載期間に移行することの意思確認を行う仕組みになっていないことから、無料掲載期間内に解約しなかった顧客に対して、自動更新後の広告料を支払われることのみを目的として契約を締結したものであり、公序良俗に違反するというものであった。

通知は求人サイトの運営会社に届き、その後、一切請求を受けていないことから、解決したものと考えられる。